2010年9月25日土曜日

君のいない淋しさ / I MISS YOU



君のいない淋しさ / I MISS YOU

" I MISS YOU"・・・人間の数だけの”I MISS YOU ”がある。
エルヴィス・プレスリーはしっかりと一語一語確かめるように歌う。
コーラスも同じようにしっかりと確かめるように。それは未練ではなく、戦いの詩。

いつか神様は願いを叶えてくれるかも分からない。あるいは叶えてくれないままかも知れない。

所詮人生はゲームのようなもの。
ジャック・ケルアックが言ったように「街角に立って決してやってこない人を待つのがパワーなんだ。 」という姿勢こそ魂の恍惚には時には重要なのかも知れない。

かってアレン・ギンズバーグなどビートの根城だったニューヨーク「チェルシー・ホテル」---ボブ・ディランは詩を書き、ジョン・レノンもよく利用した。セックス・ピストルズのシドが恋人ナンシーを殺害した場所でもある。忌わしい事件も起こったが、そこには伝説のゴーストたちが棲むという。

映画『チェルシー・ホテル』の一場面、ユマ・サーマンの傍らに『監獄ロック』でのセーター姿のエルヴィスがスチール写真で印象的に登場する。
このホテルとエルヴィス・プレスリーの関係はないはずだが、伝説のゴーストが棲むならエルヴィスのゴーストが住んでいても、雰囲気的にハマっていて違和感もない。

人は自分だけの伝説を持つことができる。時にそれは過酷であっても、抱いていた夢、計画や明日への希望が壊れても、そのひとかけらを持ち続けることはできる。

<君のいない淋しさ/I MISS YOU>は、まだ終わらない夢を持ち続ける。この歌が素敵なのは、未練を超えて律儀なまでに真摯に歌っているせいかも知れない。それは戦いそのものでポジティブ。エルヴィスが表現する「潔さ」が胸を打つ。

メンフィスのスタックス・スタジオでのレコーディングで占められている1973年発表のアルバム『ロックンロール魂』にあって、<君のいない淋しさ/I MISS YOU>はパームスプリングスにあるエルヴィスの別荘での録音。コーラスにはエルヴィスのバックを務めたJ.Dサムナーの息子、トニー・サムナーが参加、それもそのはず<君のいない淋しさ/I MISS YOU>は彼の創作した楽曲。

アルバム『ロックンロール魂』には、同じパームスプリングスでの録音で<君のまごころ>があるが、こちらは絶品のセリフ入り。共に受けを狙わうようなものではない。そのせいかとってもエルヴィスの声からも自由な感じが聞こえる、地味だけどしっかりと落ち着いた、人間の覚悟のようなものが漂って成熟ならではの凄みのあるパフォーマンスだ。

今も想い起こす
共に過ごした佳き日々のすべて
二人分かち合った愛と
喜びと笑い
今夜の僕の心の語らいが
君に感じ取ってもらえたらと願う、いとしい人
君が恋しい、君がここに居てくれたらと願う

かつて僕が抱いていた夢は
みんな壊れてしまった
悲しみの中に打ちくだかれた
僕がたてていた計画や
明日への希望
もし今夜のこの僕の淋しさを
君に話すことが出来たらと思う
ああ、君が恋しい、君にここにいて欲しい

一晩じゅう
僕は流れゆく霧を見つめ
そのはるか彼方から響いてくる
君の笑い声を聞く
僕の手を握りしめる君の手の感触
どれほど恋しいことだろう
ああ、君が恋しい 君がここに居てくれたら
おお、君が恋しい 側に居て欲しいんだ

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